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日本に分布するアヤメ属には,アヤメ・カキツバタ・ノハナショウブ・ヒオウギアヤメ・シャガ・イチハツなど,観賞価値の高いものが多くああります.
この中で,とくにカキツバタとノハナショウブから多くの園芸品種が作られました.カキツバタの改良は,花の色と形のわずかな変化にとどまりましたが,ノハナショウブからは多彩に変化した花が作り出され,花菖蒲として発展しました.
花菖蒲の栽培は,一般には江戸中期に本格的に始まったとされ,江戸の最盛期には400に近い品種が育成され,江戸(東京)や伊勢(三重県松坂),肥後(熊本)などで発展しました.
ハナショウブの品種は,改良されてきた地域にちなんで江戸系、伊勢系、肥後系に分けられます.現代多く見られるハナショウブと,原種であるノハナショウブと比較した場合,花形・花色をはじめ,葉や茎まで多くの相違があります.
江戸系は花被片(はなびら)が横に広がって開く品種が多く,このため露地など圃場での観賞にも適しています.また伊勢系や肥後系は鉢植の1株仕立てで観賞することを考慮した品種が多いのが特徴です.
ハナショウブの園芸品種としては松平菖翁が作出したとされる‘宇宙’は,今日もなお最高の品種の一つですが,ノハナショウブ1種の変異だけでは,これ以上の改良の余地がないと思われるレベルに達しています.
それは,菖翁が1代ではとうてい到達できない次元の品種でもあります.文献には記録されていませんが,江戸よりもかなり以前から,ノハナショウブをもとに長い年月をかけて自然から変り花を選抜して,改良が重ねられていたことは間違いないと思われます.
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